2000.08.31日刊新周南 八千代座歌舞伎の定期公演
八千代座歌舞伎は地域の敬老会を盛り上げようと7年前、下松市の花岡歌舞伎主宰者、内山慧さんを指導者に有志で旗揚げした。座長の鼓海八千代こと米藤千津子さん(54)をはじめ自治会長や会社員、三味線の指導者など座員は6人。内山さんの演出で毎年、敬老会を定期公演にして人情芝居を上演し、老人ホームにも出張公演して喜ばれている。 負傷したのは役者の小林淳子さん(60)と三味線の玉野千津子さん(67)。2人は26日夜、県道遠石交差点で5人の重軽傷者を出した事故に巻き込まれ、小林さんは首、玉野さんは肩から胸にかけてむち打ちやねんざのケガをした。 しかし「舞台は守らなければ」と週2回のけいこには駆けつけ、動きの激しい場面は一時、代役を立てるなど仲間と協力しながら励んでいる。 忠臣蔵は一昨年の「南部坂雪の別れ」に続いて2回目。大石内蔵助と瑶泉院の有名な場面だった前回から一転し、あまり知られない渡辺霞亭原作の外伝を選んだ。 討ち入り前夜、浪士の一人、大高源吾が別れを告げに俳句の師、其角を訪ねるが、討ち入りのことは口にできず、西国の大名に召し抱えられると話したところ、其角と弟子の其月は侍の道に外れた行為とののしりながらも決別の思いを歌にして贈り、源吾は下の句を引き継いで詠む。 其角と其月が吉良邸鄰の屋敷に住む土屋主税を訪ね、源吾のことを嘆いた直後、吉良邸に赤穂浪士が討ち入り、その後、源吾と主税、其月らが対面、最後の別れをするという崇高な武士の魂や人情を描いた1幕2場。小林さんの役は其角で、玉野さんは芝居の間中、三味線を弾いて盛り上げる。 そのほか主税は有馬浩さん(67)▽源吾は中村誠さん(55)▽其月を三明真州美さん(49)▽源吾の妹、お園を魚谷二三子さん(68)▽主税の側用人、西川頼母を米藤さんが演じるが、内山さんも「役者の味で見せる芝居で、八千代座に合っている」と期待。セリフや動作にも重みが増し、見応えある舞台が期待されている。スタッフ次の通り。(敬称略) 指導=植木容子▽美術=村井周作▽音響・照明=櫛浜ビデオクラブ▽大道具担当=コメコメクラブ▽小道具担当=西田栄子、中村由美子、藤井俊子、伊藤悦子▽着付け=三輪祐子▽かつら=春美容院 |