日刊新周南2002.07.03火曜日●徳山●

八千代座歌舞伎が「村井喜右衛門伝」
9月の定期公演に初のオリジナル作品で


稽古
けいこに励む役者たち
 郷土の生んだ偉人、村井喜右衛門を顕彰する動きが広がる徳山市櫛ケ浜の八千代座歌舞伎(米藤千津子座長)が定期公演になる9月15日の櫛浜地区敬老会で「村井喜右衛門伝」の上演を決め、けいこに励んでいる。
 八千代座歌舞伎は敬老会からすぐ帰るお年寄りたちに楽しい芝居で最後まで楽しんでもらおうと9年前に発足。下松市の花岡歌舞伎主宰、内山慧(さとし)さんの脚本・演出で毎年、歌舞伎の人気演目を上演して好評で、老人ホームにも出張公演して喜ばせている。
 今回の「村井喜右衛門伝」は江戸時代、長崎の香焼島沖に沈んだオランダ帆船、エリザ号を引き揚げるという大事業を知恵と仲間の協力で成功させた喜右衛門の話を村井周作さんの原案、内山さんの脚本で歌舞伎にした初のオリジナル作品。
  幕開けはエリザ号引き揚げに頭を抱える長崎奉行所に香焼島で回船業をしていた徳山市櫛ケ浜の喜右衛門が弟の亀次郎と訪れる場面。
 漁師などがと追い返されたあと奉行所の役人が喜右衛門を訪ねて引き揚げを依頼し、役人の態度に腹を立てていた亀次郎は反対するが、喜右衛門が考えていた引き揚げ方法を明かし、漁師の力を示そうと心を合わせ、クライマックスの引き揚げシーンへと展開する。


エリザ号の引き揚げ場面も見事に

芝居は1幕4場で約1時間。後ろ半分が沈んだベニヤ板のエリザ号が少しずつ姿を見せ、引き揚げ最中の事故で樽が海上に飛び出す場面をできるだけ忠実に表現しようと苦心している。
 喜右衛門役は渋い演技の中村誠さん。亀次郎を三明真州美さん、奉行を米藤さん、役人を魚谷二三子さん、弘中友子さん、番頭を小林淳子さん、香焼島の網元を有馬浩さん、息子を櫛浜小6年の玉野芳幸君が演じる。
 5月から本読みを始めて今は立ちげいこに入っているが、今回はセリフが多く、長崎弁と櫛ケ浜弁を駆使するため、苦戦しながら頑張っている。
 内山さんは「櫛ケ浜の人に待望の芝居。できるだけ良いものにしたい」と意気込み、米藤さんは「若い人にも見てもらって地元にこんなすごい人がいたことを知ってほしい」と話していた。


2002.09.15櫛浜敬老会上演・櫛浜小学校体育館
八千代座歌舞伎

村井喜右衛門伝


四場 喜右衛門引き揚げ成功す(写真提供・浜田心仁様)

村井 周作 原案  
内山 慧 改修・演出


 今回のお芝居は櫛ケ浜八千代座歌舞伎初のオリジナル作品として郷土の生んだ偉人「村井喜右衛門」の上演です。
 長崎の香焼町では紙芝居や人形劇を通じ喜右衛門の偉業が語り継がれていますが、地元櫛ケ浜ではまだ知らない人が多いと歎かれている中、最近櫛ケ浜でも紙芝居が出来、写真展も開催し喜右衛門ブームが巻き起こっています。八千代座歌舞伎も喜右衛門さんをもっと知ってもらおうと初のオリジナル作品に挑戦します。



一場 長崎奉行所

一場 江戸時代、長崎の香焼島沖に沈んだオランダ船・エリザ号引揚に頭を抱えてる長崎奉行所に、香焼島で鰯の買い付けをしている櫛ケ浜の回船業・喜右衛門が弟の亀次郎と訪れ、沈船浮け方を申し出るが、追い返される。
左から2人目役人・弘中友子様、3人目役人・魚谷二三子様、右端長崎奉行・米藤千津子様



二場 喜右衛門の船小屋1

喜右衛門の船小屋2

ニ場 喜右衛門の船小屋に奉行所の役人が訪ねて来て引揚げを依頼されるが、役人の態度に腹を立てていた亀次郎は反対する。喜右衛門は考えていた引揚げの詳しい方法を説明して、海の男の力を示そうと皆を説得し、心を合せてエリザ号を引揚げる決心をする。


三場 エリザ号沈没場所

三場 エリザ号引揚げの準備が整い、いざ出陣の門出を祝う。
左から網元・有馬浩様、その息子・玉野芳幸様、喜右衛門・中村誠様
亀次郎・三明真州美様、番頭・小林淳子様



四場 エリザ号浮かぶ(写真提供・浜田心仁様)

四場 クライマックスの引揚げシーンで喜右衛門は私財千両を投じて小舟・100艘で沈没船を取り囲み滑車を使い、満ち潮と西風を利用して引揚げに成功する。

日刊新周南2002.09.17火曜日
八千代座歌舞伎が熱演

徳山・櫛浜地区敬老会で先人の偉業

「村井喜右衛門伝」に拍手

写真=熱演する座員

 敬老の日の15日、徳山市の櫛浜小体育館で開かれた櫛浜地区敬老会では住民有志の八千代座歌舞伎が藩制時代、長崎で沈没したオランダ船を引き揚げた物語「村井喜右衛門伝」を上演、櫛ケ浜出身の喜右衛門の活躍に300人のお年寄りたちが熱心に見入った。
 八千代座歌舞伎は毎年違った演目を上演しており、今回は喜右衛門の子孫、村井周作さんの原案で花岡歌舞伎主宰の内山慧(さとし)さんの改修・演出。
 村井喜右衛門役は中村誠さん。千両もの私財を投じ、100艘の漁船を指揮して沈没船を引き揚げる様子を堂々と演じ、喜右衛門の弟、亀次郎役の三明真州美さんや番頭の小林淳子さん、網元役の有馬浩さんらも達者な演技で舞台を支え、最後の場面ではオランダ船が見事に海上に浮かび上がって幕が閉じられた。


2003.10.16新周南
喜右衛門伝
「村井喜右衛門伝」を演じる八千代座歌舞伎
徳山中央ライオンズクラブ認証35周年で“ボランティア芸術座”
合唱、演奏、踊り、芝居も華やかに

 徳山中央ライオンズクラブ(山下義治会長、48人)の認証35周年を祝う“周南ボランティア芸術座”特別公演が12日、周南市民館大ホールで開かれ、約500人が楽しんだ。
 出演したのは徳山少年少女合唱団(掛川潔団長)と櫛ケ浜の八千代座歌舞伎(米藤千津子座長)、紫扇会(花柳弥津絵主宰)、菊川公民館の駒菊マンドリンクラブ(高杉栄代表)。
喜右衛門伝
長崎奉行朝比奈河内守昌始
 八千代座歌舞伎の「村井喜右衛門伝」は櫛ケ浜出身で藩制時代に長崎湾口で沈んだオランダ船を引き揚げたことでヨーロッパにも知られた郷土の偉人の活躍を描くもの。フィナーレで「神風じゃ!神風じゃ!」の掛け声で沈没船が浮き上がると客席から大きな拍手が起きた。
山下会長は「ボランティア団体と私たちのクラブが力を合わせた舞台をたくさんの人に楽しんでもらえた」と盛況を喜んでいた。

喜右衛門伝
長崎奉行所の場
喜右衛門伝
長崎奉行所の場2

喜右衛門伝
鼓海(徳山湾)が織り込まれた緞帳
喜右衛門伝
歌舞伎の見得の時鳴らす板と拍子木“つけ”
喜右衛門伝
役人が香焼島の喜右衛門の小屋へ来る
喜右衛門伝

喜右衛門伝
「いざ引き揚げに」香焼島浜辺の結団式
喜右衛門伝
おお!風じゃ、風が吹いたぞ




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