1994.08.25日刊新周南●徳山●
初の舞台稽古見事に
櫛浜八千代座初舞台に懸命

切られ与三
内山さんも参加して熱心な読み合わせ4.12
 敬老会で歌舞伎を上演して、お年寄りを喜ばせようと、徳山市櫛ケ浜で4月に旗揚げした櫛浜歌舞伎・八千代座(米藤千津子座長47)が20回以上の立ち稽古を重ね、檜舞台を前に21日、櫛浜小学校の講堂で初めての舞台稽古をした。ずぶの素人ばかりの一座だが、照明や美術などスタッフと花岡歌舞伎の演出者でもある下松市旗岡の内山慧さんの指導でめきめき力をつけており、立派な舞台が見られそう。
 同地区では毎年9月15日の敬老の日には婦人会が中心になって楽しい敬老会を開いているが、これまでカラオケや手品など様々な余興をしても、最後まで残ってくれるお年寄りが少ないのが悩みの種になっていた。
 このため、婦人会の役員をしている米藤さんが働きかけて同志を集め、市文化振興財団の植木容子さんに相談して内山さんを紹介してもらって、旗揚げにこぎつけた。

切られ与三2
「切られ与三」の初舞台稽古8.21
 
切られ与三3

熱演する八千代座歌舞伎のメンバーたち9.15

 これに協力を申し出たのが地元で町の行事の映像を残そうと5年前から活発に活動している櫛浜ビデオクラブ(浅田和彦代表、11人)。音響、照明、ビデオ撮影を一手に引き受け、一座の紹介など進行の放送も担当することになった。
 以来、演目は誰でも知っている「切られ与三・源氏店妾宅の場」を選び、櫛浜コミュニティセンターや櫛浜公民館で稽古を続け、週2回も稽古したことがあるほどだが、お富は社協の副会長も務める鼓海浩之進こと有馬浩さん(61)▽切られ与三に婦人バレーの鼓海淳之助こと小林淳子さん(54)▽蝙蝠安に鼓海八千代の米藤さん▽手代藤八に婦人会の鼓海俊之丞こと藤井俊子さん(47)という配役。これに三味線の本條広栄こと玉野千津子さん(62)が登場する。


切られ与三上々の出来

切られ与三4
熱演で楽しませる一座11.6岐山寮公演
 この日の舞台稽古は、座敷の背景もそろえ、照明も本番そっくり。衣装もつけて、櫛ケ浜の方言を散りばめながらスムーズに進んで、上演時間は20分。内山さんもつきっきりで汗だくの演出。植木さんも駄目押し役で懸命。有馬さんは「無理に引っ張り出されたが、全然、余裕がなくて」と言いながらも楽しそう。
 米藤さんは「芝居をすればお年寄りに喜んでもらえるとは思ったが、まさか自分が舞台に立つことになるとは。でも楽しい」と内山さんに厳しく注意されながらも懸命な舞台を勤め、本公演が終わったら来年春まで各地を慰問し、また新しい舞台に取り組みたいと懸命だった。



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