1986(昭和61)06.13(金)日刊新周南
喜右衛門寄進の灯ろう遠石八幡宮でみつかる

遠石八幡宮鳥居
遠石八幡宮鳥居
 今から188年前の寛政10年(1798)長崎湾口で沈没したオランダ船を見事に浮上させた徳山市櫛ヶ浜の漁民村井喜右衛門は、本紙でくわしく報道したが、今度は地元の氏神、遠石八幡宮に寄付した石灯ろうが見つかり関係者を喜ばせている。
 喜右衛門の偉業はこれまで地元でもあまり知られてなかったが、喜右衛門を13年間も研究している青山学院大学教授、片桐一男博士(51)が改めて調査するため徳山を訪れたことから本紙で大きく報道され、広く注目されている。
石灯籠1
石灯籠1
石灯籠2
石灯籠2
 今度見つかった石灯ろうは同八幡宮の正面階段登り口近くに建っているご大典記念樹の石柱に隣接して建っており花こう岩で造られた四角い灯ろう。幅、奥行きとも93センチ、高さ2.15メートルで、正面に「奉献」右側には「寛政7年6月吉日」左側には「櫛濱 村井屋喜右衛門 亀治郎」と刻んである。
 徳山市代々木通の郷土史家清木素さん(72)が同八幡宮の石灯ろうを調べているうちに見つけたもので、早速喜右衛門の直系の子孫で櫛ヶ浜コミュニティセンター所長の村井栄治さん(75)に知らせたところ、灯ろうに刻んである「亀治郎」は喜右衛門の弟ということがわかり、村井さんは「長崎の神社に寄付したということは知っていたが遠石八幡宮に石灯ろうを寄付していたことは知らなかった。早速見に行きたい」と大喜び。
 清木さんは「喜右衛門はあれだけの偉業をなしとげたがこうした厚い信仰心が支えになっていたと考えられる。このことを地元の人に広く知ってもらいたい」と話している。


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