2000年版香焼町紙芝居
絵・西 都さん
お話・村井憲一郎さん


オランダ船を引き揚げた村井喜右衛門



 このお話は、今から200年程前、私達の住む香焼でおこった本当のお話です。
 その頃、日本は鎖国といって、外国と貿易や交流をしていませんでした。ただ日本でも一つだけ、長崎の出島を通じて、オランダと中国との貿易をしていました。
 当時の香焼は島で、海岸では松の木やアコウの木が繁り、白い砂浜が続き、人々は貝や魚をとったり畑を耕したりして暮らしていました。


 その頃オランダの船は、夏に長崎の出島に来て、銅や臭い消しに使われていた樟脳などを日本から買って、秋頃には帰るきまりがありました。
 10月17日のことです。
 オランダの船エリザ号が、明日の出発を前に神崎(こうざき)というところで錨をあげ、とまっていました。船長のスチュアートは「何とか今度も事故がなく無事にバタビアにつけばよいがなあ」と思っていました。

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