2004/03/20yol山口
おじゃま
多彩なイベント地域に華

 JR徳山駅から山陽線上り電車に乗ると、次の駅が櫛ヶ浜。徳山湾と笠戸湾に面し、商業や漁業で栄えたが、周南地区の発展とともに大きくたたずまいを変えた。 海は埋め立てられ、田んぼは店舗や宅地に。それでも、豊かな自然や街並みは残り、地域活動も健在だ。春風に誘われて、早川達也(読売新聞記者)が訪れた。

 眺望変れど、にぎわい今も
 櫛浜地区の西にそびえる太華山(362m)は、大島半島の主峰。徳山のシンボルとして親しまれ、地区の旧村名にもなった。 頂上まで登山道を歩いて30分余りだが、車道もあり、山頂近くの駐車場まで車で上った。駐車場から二百段ほどの石段を上り、山頂広場に着くと、眺望に目を奪われた。


小林義彦
「太華山から見る景色が一番好き」と話す小林さん
 「絶景でしょう。ここから見る景色が一番、好きですね」。案内してくれた櫛浜コミュニティ推進協議会長の小林義彦さん(77)が自慢げに語るのに、思わずうなずいた。
 北は眼下に櫛浜の街並み。その先にコンビナート、市の中心街が続き、西から南には大津島、笠戸島の島々。 東は下松市街から光市の虹ヶ浜などを見渡せる。天気が良ければ大分・国東半島も望めるという。
 太華山は1950年、瀬戸内海国立公園に組み込まれ、市が山頂広場を整備した。元日には、初日の出登山が行われ、櫛浜小児童は遠足で登る。
 約350本のソメイヨシノが植えられた桜の名所でもある。花見の時期に合わせ、協議会は毎年、山開きイベントを開く。今年は4月4日。山頂広場で安全祈願の後、もちまきやビンゴゲーム、ぜんざいの接待がある。市教委の市民歩け歩け大会が同時開催され、今年もにぎわいそう。
 山開きに合わせるように、桜のつぼみが膨らみ始めた。小林さんは「今年も大勢の人に来てもらいたい」と笑顔を見せた。


来月山開き
5月大島半島一周サイクリング

 ここには、地域に根付いた行事が多い。協議会の主催だけでも、他に、1月のどんど焼き、5月の大島半島一周サイクリング大会、7月の納涼大会が行われる。
 協議会の企画部会長を兼ねる河本秀則副会長(48)は「協議会を構成するPTAや婦人会、自治会など、地域をよくしようという思いはどこも一緒。 だから、行事の際には各団体が協力し合う体制ができており、イベントをやりやすい」と説明する。
 山開きも、櫛浜体育振興会や住民ボランティアグループが行う。協議会が主催して資金面で支援し、地域を挙げたイベントにと盛り上げている。
 河本さんは「まとまりが良いうえ、新しい住人を拒まない気質がある。イベントをどんどんバックアップしていきたい」と張り切っている。


櫛浜地図
 周南市の東部、大島半島の付け根に位置し、東は下松市に接する。商業と漁業で栄えた櫛ケ浜と、農村の栗屋などが1889年(明治22)に合併し、太華村が発足。 1940年(昭和15)に櫛浜町と改めた。1944年に徳山市と合併し、現在は周南市の一部。 山陽線と岩徳線が分岐、旧国道188号が通る交通の要衝で、海岸部には鼓海・奈切流通団地や徳山競艇場などが立地している。人口約6100人。

つづく
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