エリザ号引き揚げ模型

2001.2kiemon

村井喜右衛門は寛政10年(1798)秋に長崎湾口で俄の嵐で沈没した外国の帆船を寛政11年初めに引き上げました。山口県徳山市にある徳山市立中央図書館2階にエリザ号引き上げ模型が展示してあります。長崎県香焼町の梅原喜一郎さんの作品です。ぜひ実物を御覧下さい。

徳山市立中央図書館 エリザ号引揚げ模型

ごあいさつ

寛政年間、オランダ傭船が長崎沖で沈没し、その船体を、周防国都濃郡櫛ケ浜村(現、徳山市櫛ケ浜)の鰯回船業者、村井喜右衛門が、技術と心意気をもって、前後34日を費やし引き揚げに成功しました。
その沈船引き揚げの評判は、鎖国中の日本国内だけではなく、遠く欧米諸国にも伝わり、無名の一日本人村井喜右衛門の事蹟は広く知れ渡りました。
この出来事がつぶさに書き残されている『蛮喜和合楽』には絵図がついており、喜右衛門が工夫した引き揚げの手段方法を見て取ることができます。
この度、この絵図をもとに引き揚げの模様が復元され、中央図書館に展示されることになりました。この歴史模型は、徳山地方郷土史研究会が創立20周年を記念して、村井喜右衛門の業績を後世に伝えるために、徳山市へ寄贈されたものです。
本展示は、西暦2000年が日蘭交渉400年目であることから、国際交流の観点からもたいへん意義深いことと確信いたしております。
最後に本展示を当館に設置するにあたり、ご協力を賜りました皆様に深く感謝の意を表します。

平成10年5月     
徳山市立中央図書館  




1998(平成10)05.29(金)the daily new shunan 13423号
オランダ船引揚げ模型展示
喜右衛門讃えて徳山地方郷土史研究会が寄贈
徳山市中央図書館2階で展示


模型展示 徳山市櫛ヶ浜出身の村井喜右衛門が寛政11年(1799)長崎湾口で沈没したオランダ船を引揚げたときの作業模型の展示が28日から市中央図書館2階の参考郷土室で始まった。この引揚げ事業は当時ヨーロッパでも評判になった快挙で、郷土の生んだ偉人の業績を語り継ごうと徳山地方郷土史研究会(清木素会長)が20周年を記念して市に寄贈した。
喜右衛門は長崎の香焼島を中心にイワシの買い付けをしていたが、寛政10年(1798)秋、暴風雨のためにオランダ船が沈没するという大事件が起きた。
この船は長さ41.4メートル、幅10.8メートルの大船で、長崎奉行所は引揚げ事業の志願者を募ったが応じるものがなく、申し出ていた喜右衛門に依頼してきて、見事に成功させた。
模型は高さ80センチ、幅79センチ、奥行き43センチで、ガラスのケース入り。オランダ船の周囲に数10隻の船を並べ、船底に大綱を取り付けたり、船の周囲にやぐらをたてて滑車を使い、風力と潮の干満を利用するという大がかりな仕掛けがロープの一本まで忠実に再現されている。
製作はこれまでも同様の模型を作ったことがある香焼町の梅原喜一郎さん。説明板と自由に持帰れるパンフレットも置かれている。


1998(平成10)05.29(金)asa山口
引揚げ模型展示

模型展示 200年前の沈没船の引揚げ再現模型が28日、徳山市立中央図書館に展示された=写真。江戸後期、長崎沖でオランダ船の引揚げに成功した徳山・櫛ケ浜の実業家、村井喜右衛門の業績を伝えようと、徳山地方郷土史研究会(清木素会長)の依頼を受け、長崎県香焼町の梅原喜一郎さん(64)が製作した。
ガラスケースに入れて常設展示され、来館者たちは精巧な出来栄えに目を見張っていた。作業の絵図面などを織り込んだ册子「日本のサルベージの草分け 村井喜右衛門」も、無料で配布されている。六郎万一幸・館長は「喜右衛門の偉業を紹介し、知名度アップにつながれば」と話した。


1998(平成10)06.15kohotokuyama1545号
村井喜右衛門(櫛ケ浜)の沈船引揚げ模型寄贈

5月23日、徳山地方郷土史研究会から、200年前に長崎沖で沈没したオランダ船の引揚げ作業を再現した模型が、市に寄贈されました。
この模型は、同研究会が創立20周年を記念して、村井喜右衛門の業績を後世に継承するために製作したものです。模型は中央図書館2階に設置され、村井喜右衛門の人物紹介、沈船引揚げの際の絵図面のパンフレットも用意されています。
どうぞご覧ください。


1998.04.15(平成10)kohotokuyama1539号top
模型引渡し 模型を指して説明する長崎県香焼町の梅原喜一郎さん。模型の制作者です。この模型は200年前長崎湾で沈没したオランダ船の引揚げ作業を再現しています。だれもなし得なかった難事業に挑み、みごと沈没船を浮揚させたのは徳山の村井喜右衛門でした。徳山地方郷土史研究会がその業績を市民に伝えようと製作を依頼し、中央図書館で行われた引渡式には香焼町の町長・助役も出席されました。(4月4日)

1998(平成10)04.05(日)asa山口
長崎沖のオランダ船引揚げ再現模型が徳山に
長崎から関係者の子孫も同行

模型引渡し2
模型を前に引揚げ作業の仕組を説明する梅原さん
(左)=徳山市の市立中央図書館で
200年前の江戸後期、長崎沖で沈没のオランダ船を引揚げた徳山の村井喜右衛門の業績が、形になって届いた。長崎県香焼町の梅原喜一郎さん(64)がサルベージ事業の再現模型を製作し、4日、徳山市の徳山地方郷土史研究会(清木素会長)に引渡した。
市立中央図書館であった贈呈式には、喜右衛門の弟の子孫にあたる香焼町の徳永繁富町長と村井憲一郎助役らも顔をそろえた。梅原さんは「滑車やいかだを駆使した技術には感心する。模型を見て、徳山と香焼の人たちが共同作業した様子を思い浮かべてほしい」と話した。
徳永町長は「喜右衛門の功績はサルベージ事業の草分けだ。これを機に、徳山市と友好を深めたい」。徳山市の末田武助役も「功績を縁に今後、交流活動を始めたい」と答えた。模型は5月下旬、同市に寄贈され、中央図書館に展示される予定だ。


1998(平成10)04.06(月)the daily new shunan13387号
香焼町(長崎)の制作者が説明も
村井喜右衛門の仕掛け模型届く
徳山地方郷土史研究会創立20周年事業で依頼

引き渡し
説明する模型制作者の梅原さん
藩制時代の200年前、徳山市櫛ケ浜出身の村井喜右衛門が長崎港口で沈没したオランダ船エリザ号を引揚げた際の仕掛けの模型が4日、市中央図書館で制作者の長崎県香焼町、梅原喜一郎さん(64)から徳山地方郷土史研究会(清木素会長)に引渡された。同会が創立20周年記念事業の一環として製作を依頼していたもので、同会は5月23日の総会の席上、市に贈り、両市町の新たな交流が始まることを期待している。
エリザ号は藩制時代の寛政10年(1798)秋、出島での貿易を終えて長崎湾口で風待ちをしていたとき、暴風雨のため沈没した。
商用で香焼島に来ていた喜右衛門の申し出で長崎奉行が引揚げを依頼し、喜右衛門は沈没船に大がかりな仕掛けを作って引揚げに成功した。作業には延べ1705隻、13000人が携わったという。喜右衛門には奉行から白銀30枚が贈られ、幕府も快挙を讃えた。
模型
模型に見入る会員たち
徳山市では一昨年から村井喜右衛門展や講演会を開いたり、両市町幹部や関係住民の相互訪問が続いていたが、同会は昨年11月、清木会長らが梅原さんを香焼町に訪ねて模型づくりを依頼。梅原さんは古文書の絵図面を参考に製作に打ち込んだ。
模型は横75cm、縦39cmの台にアクリル板で海面を作り、空間を海中に見立てて、沈没した長さ45cmのオランダ船を置いた。海上には引揚げ船や網船約50隻など計59隻を並べ、当時の情景を忠実に再現した。船はヒノキを削って仕上げ、柱や滑車は竹や丸棒、糸をピンセットで締め上げて綱掛けを組んだ。
この日の贈呈式では徳永繁富香焼町長が「私も村井の血を引く人間。今後、両市町の交流のきっかけに」と期待し、清木会長も「見事な模型。喜右衛門の偉業を後世に伝え、これを機に両市町の友好関係を永続させたい」と応え、梅原さんに感謝状を贈った。
席上、梅原さんが再現した模型の構造を説明し、村井家子孫の徳山市の村井信昭さん、村井洋一さん、香焼町の村井憲一郎助役をはじめ、同会会員、市議ら計50人が熱心に聞き入っていた。


1998.04.05yamaguchisinbun
先人の縁で交流へ
徳山市と長崎県の香焼町
200年前の蘭船引揚げ模型引渡し

引き渡し
製作した梅原さんの説明で紹介
された200年前の船引揚げ装置
徳山市出身の交易商、村井喜右衛門が長崎県沖で沈没したオランダ船の引揚げに成功して200年。地元の先人の功を伝えようと、徳山地方郷土史研究会(清木素会長)が、当時徳山と行き来のあった長崎県香焼町に製作を依頼していた200年前の沈船引揚げの様子を再現した模型が完成。4日、徳山市立中央図書館で引き渡し式が行われた。
模型は縦約75cm、横40cmの水面を表したプラスチック板の上に沈没したオランダ船、エリザ号(1500t)の引揚げられた船体模型(全長、約60cm)を中心に、引揚げ装置として組み合わせた多くの小船の模型が配置されている。同町の梅原喜一郎さん(64)が4カ月をかけて製作した。
式には香焼町から徳永繁富町長ら4人を含む40人が出席。清木会長は「喜右衛門はサルベージの草分け的存在で、外国の記録にも残っている。喜右衛門を通して両市町の友好が深められれば」とあいさつした。
喜右衛門は徳山、長崎間の交易をするなどしていた。長崎湾の入り口にある島の香焼町にもかかわりは深く、徳永町長も子孫にあたる。同町長も「これを機に、徳山との交流をしていきたい」と話していた。


1998(平成10)04.05(日)mainichi山口
江戸時代に沈没のオランダ船
引揚げ模様再現の模型渡す
長崎から徳山市に届く

引き渡し
模型の解説をする梅原さん(左)
江戸時代後期、都濃郡櫛ケ浜村(現徳山市櫛ケ浜)出身の村井喜右衛門が長崎沖で沈没したオランダ船を引揚げた模様を再現する模型が4日、長崎から徳山市に届けられた。今年で船の引揚げから200年にあたることから、徳山地方郷土史研究会(精木素会長)が長崎県香焼町の梅原喜一郎さん(64)に模型製作を依頼していた。
この日、香焼町から徳永繁富町長、梅原さんら4人が徳山市立中央図書館を訪れ、研究会に模型を寄贈した。模型は徳山市に寄贈され、一般公開される。
1798年、オランダ船「エリザ号」(長さ41.4m、幅10.8m)が暴風雨のため長崎港沖で座礁、船は銅などを積んだまま沈没した。長崎奉行は引揚げの援助を募った。商用で長崎を訪れていた喜右衛門が名乗り出て、引揚げに成功。作業には13000人が従事し、一ヵ月を要したとされる。喜右衛門は1752年に生まれ、長崎県香焼島付近を中心に九州方面で海産物の交易を手掛けていたとされる人物。
模型は幅75cm、長さ40cm、深さ8cm。海に見立てたアクリル板上に、ヒノキ、竹などを使い、約60隻の小船と、エリザ号をロープで引っ張る大船を精巧に再現した。
梅原さんは帆船の模型作りが趣味。昨年11月、同研究会から製作依頼を受け、古文書の絵図面を参考にした。「何万人という人が集まって一つの作業を成し遂げた。その中に自分の祖先がいるような想像をしながら製作した」という。


記念写真
引揚げ再現模型引渡し記念撮影

1998.04.03asa山口
200年前に長崎沖で沈没したオラ
ンダ船引揚げ再現模型を製作

徳山地方郷土史研究会が長崎県香焼町梅原さんに依頼
あす徳山市で引渡し
両市町の交流期待
村井喜右衛門の業績後世に

模型製作依頼
寄贈される再現模型とほぼ同じタイプの一作目
中央のエリザ号の周りに小船を集め、喜右衛門
の帆船が右側から支える/写真提供・徳山地方
郷土史研究会=香焼町立図書館で
200年前の江戸後期、長崎沖で沈没したオランダ船の引揚げに成功した徳山・櫛ヶ浜の実業家、村井喜右衛門(1752―1804)の業績を後世に伝えようと、徳山地方郷土史研究会(清木素会長、275人)が創立20周年を記念し、長崎県香焼町の梅原喜一郎さん(64)に引揚げ作業の再現模型の製作を頼んだ。約4カ月をかけて完成、4日午後、徳山市立中央図書館で引渡される。同町の徳永繁富町長らも同席する予定。関係者は寄贈を機に、両市町の新たな交流が始まることを期待している。
エリザ号(1500トン)が沈没したのは1798年(寛政10年)の秋。出島から長崎港を出港後、暴風雨に遭って沈んだ。船には大量の銅を積んでおり、長崎奉行が地元民に引揚げを命じたが難行し、商いで香焼に来ていた喜右衛門に依頼。大綱を船底に巻きつけ、帆船75隻を動員するなどして、翌年に引揚げた。奉行から白銀30枚を贈られ、幕府も快挙をたたえた。

肖像画
掛け軸に描かれた村井喜右衛門の肖像画
徳山青年会議所刊「目で見る徳山の歴史」
喜右衛門は当時、長崎沖にイワシ漁場を構え、干しイワシの商売に成功。櫛ヶ浜からも大勢の漁師が出稼ぎに来ていたという。
模型は横75cm、縦40cmの台に、ヒノキ材をノミで削って作ったエリザ号を設置。帆船のほか、引揚げ用の柱や滑車などを配置し、難事業の様子を精巧に再現している。
梅原さんは11年前に郵便局を退職し、帆船の模型づくりを趣味にしている。香焼町立図書館の依頼で1996年にほぼ同じ模型を完成させており、今回で2作目。郷土史研究会から昨年11月に頼まれ、古文書の絵図面を参考に製作に打ち込んできた。
清木会長は「喜右衛門の活躍は、江戸時代に徳山と長崎の交流が盛んだったことを示す史実。これを機に、徳山と長崎の友好の歴史が始まるよう願っている」と話す。5月下旬、再現模型を徳山市に贈り、展示してもらうことにしている。

1998.03.28nagasakisinbun
長崎港に沈むオランダ船引揚げ模型が完成

梅原喜一郎さん=西彼香焼町=
徳山の郷土史研究会が依頼
精巧に59隻 江戸時代の仕掛け再現

模型完成
村井喜右衛門による沈没したオランダ船引揚
げの状況を再現した模型の最終チェックをす
る梅原さん=西彼香焼町馬手ヶ浦
模型船作りが趣味の西彼香焼町馬手ヶ浦の梅原喜一郎さん(64)は、江戸時代に村井喜右衛門が長崎港外で沈没したオランダ船を引揚げた際の仕掛けを模型で再現した。村井の出身地の山口県徳山市の徳山地方郷土史研究会(清木素会長、約270人)から同研究会創立20周年記念事業の一環として製作を依頼された。来月4日、同研究会に引渡す。同研究会は徳山市に贈り、市立中央図書館に展示して村井の業績を市民に知らせたいとしている。
オランダ船はエリザ号。同船は1798(寛政10)年秋、出島での貿易を終え長崎港口で風待ちをしていた時、暴風雨に遭い沈没した。長崎奉行は防州(山口県徳山市)から商いで香焼に来ていた村井喜右衛門に引揚げを依頼。沈没船に大綱を掛けるなどして翌99年に引揚げに成功した。作業には延べ1705隻、13000人が従事したという。
模型は横75cm、縦39cmの台に透明のアクリル板で海面(深さ6.5cm)を作り、空間を海中に見立て、沈没した同船(長さ約45cm)を設置。海上には引揚げ船(同約20cm)や網船50隻(同約8cm)など計59隻を配置した精巧なもの。
作業はヒノキをノミで削って船に、竹や丸棒で引揚げに使った柱や滑車などを作り、糸をピンセットで締め上げて綱掛けを組み上げた。梅原さんは「縮尺は分からないが、資料の絵図面を参考に忠実に再現した」と言う。
1996年に町立香焼図書館の依頼で同じ模型を製作しており、今回で2作目。昨年10月から作り始め4カ月がかりで完成した。「引揚げの仕組みや作業に携わった人々の労力を分かってもらえれば」と話す。
梅原さんは同町生まれ。11年前に郵便局を退職後、主に帆船の模型作りを趣味にしている。次は出島に来航したオランダ東インド会社の3本マストのガレオン船「フリースラント」の模型を作りたいと意欲を見せている。


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