1996(平成8)05.25読売新聞
日本のサルベージ草分け
喜右衛門の偉業紹介
徳山で展示会
寛政年間にオランダ船引揚げ

徳山市立中央図書館で開催の村井喜右衛門展

約200年前の寛政年間、長崎沖で沈没したオランダ船の引揚げに成功し、日本のサルベージの草分けとされる徳山・櫛浜出身の村井喜右衛門(1752―1804)を紹介する展示会が、徳山市立中央図書館で開かれている。
喜右衛門は、長崎・香焼島を拠点に漁業、水産加工物販売を手広く展開していた。1798年(寛政10)オランダの大型船が座礁、沈没。長崎奉行所などが引揚げようとしたが出来なかったのを、船底部に大綱を巻き、帆船2隻と小船76隻などで、潮の干満や風力を利用して見事に成功した。
幕府は感謝状を、オランダも白砂糖などの貴重品を贈って功績をたたえた。引揚げの様子を記した書物「蛮喜和合楽」も出版され、その偉業はオランダを通じて世界各国に伝えられた。
展示会は、今年から「海の日」(7月20日)が国民の休日になったことにちなみ、同図書館と徳山地方郷土史研究会が企画した。長崎県立図書館蔵の引揚げ絵図の写真パネル、幕府の感謝状、「蛮喜和合楽」のコピー、喜右衛門に関する古文書など約100点を展示している。30日まで。


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