日刊新周南1996(平成8)05.28(火)第12936号
●徳山●
偉人・村井喜右衛門に感動
藩制期、オランダに名とどろく
片桐教授の講演に超満員藩制時代の200年前、長崎湾口で座礁、沈没したオランダの交易船を独力で見事に引き揚げ、当時のヨーロッパにまで名をとどろかせた徳山市櫛ケ浜の漁民、村井喜右衛門を顕彰する展覧会に合わせて、喜右衛門の研究で知られる青山学院大教授、片桐一男さん=千葉県船橋市=の講演会が25日、市民館小ホールで開かれ、満員のお客さんは、片桐さんがオランダの文献から研究した喜右衛門の偉人ぶりに聞き入った。
この講演会は同市中央図書館と徳山地方郷土史研究会の主催。片桐さんは「櫛ケ浜の村井喜右衛門、オランダへ鳴りひびく―沈船引き揚げで見せた技術(わざ)・心意気」と題して、オランダ商館日記と日本側の資料を対比しながら、喜右衛門が櫛ケ浜と香焼島とを往復しながら、どんな太っ腹な商売を続けて人望を得ていたか、引き揚げ作業を奉行所に申し出てから、大量の資材と人員を集め、どんなふうに人員と船を配置して成功させたかを解説して、満員の人たちも喜右衛門の活躍ぶりに聞き入っていた。
講演会には、村井家の親類にあたる人たちが香焼町や山口市、大阪などからも駆けつけて熱心に聞いていたが、片桐さんは「こんなに国際的な活躍をした海の男は、紀国屋文左衛門、銭屋五兵衛、高田屋嘉兵衛以上の人。村井家に伝わる資料も大切にしなければならないが、ぜひ資料コーナーを常設して、よそにない宝物を広く紹介してほしい」と話していた。
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