日刊新周南1996(平成8)05.22(水)第12932号
●徳山●
沈船引き揚げの
村井喜右衛門展始まる
老中からの感状や絵図
25日・片桐教授が講演
藩制時代の200年前、長崎湾口で座礁、沈没したオランダ船を独力で引き揚げて世界に名を知られた徳山市櫛ケ浜の村井喜右衛門を紹介する展覧会が、21日から市中央図書館で始まった。村井家に伝わる長崎奉行や老中、櫛ケ浜の領主、宍戸家からの偉業に対する感状や長崎県立図書館に残る絵図面のパネルなど100点が出品されている。また長年、喜右衛門を研究している青山学院大の片桐一男教授の講演会が25日午後3時から市民館小ホールで開かれる。
この展覧会は市中央図書館と徳山地方郷土史研究会の主催。喜右衛門ら櫛ケ浜の漁師は当時、長崎の香焼島に数多く渡っており、人望の厚かった喜右衛門は長崎奉行に申し出て、大船の浮上を成功させた。展覧会では、真冬の海で多くの船や人を指揮して沈没船の船底に大綱を巻き、やぐらを組み、周囲に船を集めて浮上させている絵図面が並び、熱心に見入る人も多い。
また香焼町図書館の協力で、同町で作られた喜右衛門の紙芝居や朗読テープ、喜右衛門が寄進した同町内の石灯ろうや弟、亀次郎の墓の写真など同町と櫛ケ浜の強いつながりを感じさせる資料もある。10年前に喜右衛門を大きく取り上げた日刊新周南の紙面や書籍も多い。
会場では絵図や感状の文面なども入ったパンフレットと防長新聞の主筆で県立教育博物館の初代館長も務めた作間鴻東が大正13年に書いた「村井喜右衛門」も村井洋一さんが印刷し、無料で配っている。
片桐教授の講演会は「櫛ケ浜の村井喜右衛門オランダへ鳴りひびく―沈船引き揚げで見せた技術(わざ)・心意気」の演題で、絵図などをもとに引き揚げの様子を話す。これも無料。


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